エッセイ

東北には今に残る手仕事としての着尺や帯が各地にたくさんあります。

訪ねあるいてみて、その実情を知り、私はさらに東北のきものを

いとおしく思うようになりました。

厳しい土地で育まれた伝統の織りは、東北の先人たちの知恵の結晶でした。

東北のきものの、控えめで穏やかな表情に、北国ならではの忍耐強さと

愚直なまでの真摯さを感じ、 今では好んで着るようになっていました。

自然と人、人と人を結んで、心を結んで生まれた織。 

捻じれたり、細くなったり、節ができたりしながら、

つながっていくこの糸のように、私も生きていけらたらと思います。

  東北の着物が育まれてきたように。   
                         

日々、身の回りに起きる様々なことを

受け入れて暮らしていくことは

現代においても変わることはありません。

平常心を保つことほど難しいものはないと

思うのです。でも誰もが何もないかのように

行きかっているのです。



私はそんなことを思いながら“東北のきもの”

に袖を通しております。



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暮らしのクラフトゆずりは 

撮影 細川剛


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ふと思うのです。

布の糸は命ある動物や、植物、木から人の手によって生まれるのだと…。

より暖かく、丈夫にと刺し子をしたり、山菜のぜんまいの毛までも使い、

綿花が採れないからと、麻や木でも布を作りました。

そして、絹糸をとるためのお蚕様は枕元にまでいたといいます。

厳しい気候風土を受け入れてくらすかつての人々が自然から育んだ智恵は、

今”東北のきもの”にかけがえのない輝きを添えています。

重労働に明け暮れる生活の中で労を惜しまない手仕事は、

家族を思う気持ちとはいえ、“なぜ、ここまで…。”と思ってしまいます。

そして、自己主張が喜ばれなかった当時の女性の

心情を思ってみた時、一見単調に見える布仕事に無心の安らぎと

生きているという実感を持てたのではないでしょうか。

それはどこか、

祈りにも似たものだったのかもしれません。